吾輩は「黒帯」である―日本人拳士ロンドン道場痛快修行記
2005年1月24日 読書
ISBN:4098400618 単行本(ソフトカバー) 林 信吾 小学館 2000/09 ¥1,575
この筆者は少林寺拳法の有段者として、イギリスに渡った。が、決して少林寺拳法普及のために命を懸けてという訳ではない。学生として留学した様である。で、たまたまその時に習っていた少林寺拳法をイギリスでも学びたくてイギリスの道院(少林寺拳法では道場のことを道院という。が、イギリスではなんと呼ばれているかは不明)に顔を出したということらしい。
だから、少林寺拳法ともやや距離をおいて、結構第三者的立場で、書かれているのが特徴と言える。
しかし、イギリスではポピュラーとは言えない日本武道である少林寺拳法を習いに来る外人は、強者(曲者)が多いのかもしれない。しかも、ブラックベルト(黒帯)=スーパーマンという風潮のなか、たかが少林寺拳法の初段が何ができるのであろうか?と読んでいて心配になった。が、日本武道の初段は、やはり初段なのである。先生と弟子、道院での振る舞い。これは、日本人であれば、当たり前に捉えられていることや、ちょっと説明を聞けば分かることが、彼らイギリス人には、通じないのである。ここから、彼らに説明そして納得してもらわなければならないのである。だから技的にさほどでも黒帯の文化的重さを筆者は十分に感じたのでないか。またイギリスだけでなく、他のヨーロッパの少林寺剣士との交流も書かれていて、なかなか面白く興味深く読むことができた。ただし、よくある様な「拳(こぶし)一つでヨーロッパを渡り歩いた」旨の内容を期待する方にはまったく期待に添わない。それよりもっと大きな目でみた文化の違いを教えてくれる。それと宗教法人の側面をもつ少林寺拳法をイギリスなどキリスト教徒に、どう説明して、どう納得してもらっているのかなどの記述が全くないのは残念である。日本では無神論者が当たり前という風潮の中、それに真っ向から反対するキリスト教徒国イギリスの対比なども是非行ってもらいたい。
この筆者は少林寺拳法の有段者として、イギリスに渡った。が、決して少林寺拳法普及のために命を懸けてという訳ではない。学生として留学した様である。で、たまたまその時に習っていた少林寺拳法をイギリスでも学びたくてイギリスの道院(少林寺拳法では道場のことを道院という。が、イギリスではなんと呼ばれているかは不明)に顔を出したということらしい。
だから、少林寺拳法ともやや距離をおいて、結構第三者的立場で、書かれているのが特徴と言える。
しかし、イギリスではポピュラーとは言えない日本武道である少林寺拳法を習いに来る外人は、強者(曲者)が多いのかもしれない。しかも、ブラックベルト(黒帯)=スーパーマンという風潮のなか、たかが少林寺拳法の初段が何ができるのであろうか?と読んでいて心配になった。が、日本武道の初段は、やはり初段なのである。先生と弟子、道院での振る舞い。これは、日本人であれば、当たり前に捉えられていることや、ちょっと説明を聞けば分かることが、彼らイギリス人には、通じないのである。ここから、彼らに説明そして納得してもらわなければならないのである。だから技的にさほどでも黒帯の文化的重さを筆者は十分に感じたのでないか。またイギリスだけでなく、他のヨーロッパの少林寺剣士との交流も書かれていて、なかなか面白く興味深く読むことができた。ただし、よくある様な「拳(こぶし)一つでヨーロッパを渡り歩いた」旨の内容を期待する方にはまったく期待に添わない。それよりもっと大きな目でみた文化の違いを教えてくれる。それと宗教法人の側面をもつ少林寺拳法をイギリスなどキリスト教徒に、どう説明して、どう納得してもらっているのかなどの記述が全くないのは残念である。日本では無神論者が当たり前という風潮の中、それに真っ向から反対するキリスト教徒国イギリスの対比なども是非行ってもらいたい。